わかりやすいあやとり百科

わかりやすいあやとり百科
有木昭久 著
ポプラ社2003年2月刊
対象
誰でもOK。
特に子どもたちにあやとりを教えたい人や保育士さん。
分かりやすさ 4
難易度 1から3
今のあやとりには何が必要なのか、そんなことを考えていた時期が私にはありました。結局出した結論は、伝えること、教わること、開発することでした。その時の私はあやとりを学術的に捉えてました。でも1番必要なことってあやとりを楽しむことなんだと、忘れかけていたことをこの本から教わった1冊を紹介します。
今回、紹介する本のイチオシは何といっても「ふたりあやとり」です。子どもの時、飽きずにだらだらと同じことを何回も繰り返してました。大人になって川を作れば誰もが取ってくれるでしょう。そんなふたりあやとりをもっとおもしろくする方法がこの本には書かれています。読んでみて、もし知っていた方法ならばゴメンナサイ。
「みんなであやとり」のページはあやとりの導入としても使えます。保育園であやとりをやったらおもしろそうですね。だけどあやとりはいっぺんには教えられません。あやとりとは呼べないかもしれませんが、あやとりに必要な感性はこのページで磨かれるでしょう。
有木昭久さんが書かれた本は工夫で溢れています。「ふたりあやとり」のページにしても、「みんなであそぼう」のページにしても、誰もが思いつきそうなことなのですが、私は見落としてました。ともかく見る一見ありです。

あやとり いととり 親子であそぶあやとり絵本(全3冊)

あやとり本のベストセラーといってもよい本。20年以上も前に発売されて現在に至るまで刷られている本である。なぜ20年以上も刷られているのでしょうか?

それは、あやとりの取りやすさと覚えやすさにあると思います。しかしこの本は幼児がひとりで学べるほど分かりやすくには作られてはいません。むしろ親子で一緒に遊ぶために作られています。
あやとりはひとりでするより、誰かと一緒にあやとりをしたほうが誰かに教えてもらったほうが覚えやすいです。その時に覚えやすいこともありますが、数十年後にはきっと、その時の思い出とともに手があやとりを覚えているでしょう。

そしてこの本は絵本と名のつくように1冊が薄く1ページが厚い。そのためあやとりがしやすいのです。あやとりをしているとき両手がふさがっているため本を開いた状態にしたままにしたり、ページをめくることはとても難しいです。私はよくページの端を足でふんずけて母親に行儀が悪いと怒られました。その点この本はしっかりと開くこともでき、めくりやすいのであやとりがしやすいのです。
この本の珍しいのは著者のさいとうたまさんが実際にあやとりを人から教わってきたものを紹介していることにあります。最近、私は気がついたのですが2巻目の背表紙に4段ばしごのさいとうさんが教わったいろいろな呼び名が書いてあります。その中のひとつに「やまみち」とある。これにはどこがやまみちなのか悩みましたが、ふと分かりました。
この本であやとりを学んだ子供たちがそろそろ親になりあやとりを教えている頃です。子どものときと同じ本で遊ぶことができる。こんなにも幸せなことがあるのでしょうか。残念ながら私はこの本からあやとりを教えてはもらえませんでした。私もこの本からあやとりを教えてもらいたかったです。

あやとりいととり全3冊セット

文・採取 さいとうたま
絵    つじむらますろう
福音館書店1982年11月刊
対象:親子で一緒にあやとりをする子
分かりやすさ:ダイヤダイヤダイヤ
難しさ:    ダイヤダイヤ

あやとりランド!

渡部協子 監修
日本文芸社2005年8月刊
対象
学校であやとりブームが来て、一通りみんなが知っているあやとりを覚えた子
もう一度あやとりをやり直したい人
分かりやすさ 
難易度

 2006年現在、書店で発売されて間もないということで最も入手しやすい本でしょう。
 全編フルカラー写真の変形B5サイズのひも付きの本は子どもがひとりでもできるように分かりやすくできています。ひもの長さ、難易度が3段階で表示されとても親切です。内容も簡単なものからカモメのような難しいものまであり、この一冊で初めての人も、新たに始める人も楽しめると思います。
 ただこの本は『あやとりについて』の部分が少ないことから、親と一緒にあやとりをするために書かれていないように思えます。「お母さん、おばあさんに聞いてみましょう」といった文章がないので、あやとりが全国的に広まっていて誰もが取れることが分かりません。おばあさんもお母さんもあやとりが取れるという、この遊びのおもしろさを知らない人が読んでしまったら、あやとりはただのゲームになってしまいます。そういった意味でこの本は、初めての人には向いていません。
 次に、あやとりについての情報が少ないため、次につながる要素が少ないのが残念です。例えば、この本では日本のあやとりなのか、外国のあやとりなのかが分かりません。ひとこと地名を入れるだけで世界地図を取り出して眺める子もいるのではないでしょうか。この本からではあやとりだけで終わってしまうような気がします。
 この本ならば子ども一人でもすべてのあやとりが取れるでしょう明日、友達に見せるためのあやとりの練習本といったところでしょう。
 私のこの本での一番のオススメは『足のうら』です。